乾徳山2013/06/23

[山梨・奥秩父]                               休日の山歩き top
乾徳山(2031m)・黒金山(2231m)から西沢渓谷へ
2013年5月26日(日)


乾徳山は、30年以上前の夏、職場の仲間と登ったことがある。草原や岩場があり、山頂からの展望も良く、当時も今も人気のある山だ。今回は、乾徳山から北に尾根をたどり、黒金山を経て西沢渓谷まで歩こうと計画した。コースタイムで10時間余、休憩を含め11時間以上かかる。
塩山駅と山梨市駅からバスが乾徳山登山口を経て西沢渓谷入口まで運行されているから、マイカーと組み合わせて、登山口・下山口間の移動にバスを利用できる。案として、下山口となる西沢渓谷入口の駐車場に車を停め、朝7時20分の始発バスで乾徳山登山口まで移動すると、歩き始めるのが8時少し前からとなり、西沢渓谷に着くのが夕方7時では遅すぎる。そこで、西沢渓谷入口からの最終バスは16時25分とやや早いが、これに間に合うよう乾徳山登山口を早朝に出発するように計画を立てた。
結果は、乾徳山と黒金山の山頂からの展望がすばらしかった。途中で雨に降られたが、シャクナゲの群生も見られた。この長いコースを歩く人は少ないだろうと思ったが、登山地図で紹介されているためか、同じ向きに歩く人が数組いた。コースタイムが実際より長めに設定されていた区間もあり、休憩を長めに取っても計画どおりに歩き抜けられた。
乾徳山地図

【行程】
22時 自宅発⇒中央道⇒0:10頃 勝沼IC出る⇒1時 徳和・乾徳山登山口駐車場着・車中泊

4:52乾徳山登山口駐車場→5:21乾徳山登山道入口→5:47銀晶水→6:32錦晶水→6:43国師ヶ原・十字路→7:08月見岩7:20→7:50髭剃岩→8:14乾徳山山頂9:06→9:15山頂北分岐→10:03笠盛山10:13→10:59大ダオへの分岐→11:05黒金山11:46→12:09牛首のタル→13:20頃シャクナゲ多い→13:34紅葉台→14:15黒金山登山道入口・西沢渓谷軌道跡→15:16ねとり橋→15:18東屋とトイレ15:34→15:49西沢渓谷入口バス停=16:25山梨市駅行きバス発⇒16:55乾徳山登山口で下車

乾徳山登山口駐車場 17:13発⇒17時45分頃 勝沼ICから中央道⇒渋滞2時間⇒22時過ぎ 自宅着

【高低差】
徳和登山口830m→乾徳山2031m→黒金山2231m→西沢渓谷入口1110m=+1201m+200mー1121m

【乾徳山登山口を早朝に出発】
登山前夜に自宅を出発し、車中泊して乾徳山登山口を早朝に出発しようと計画した。中央道で最後のパーキングエリアとなる初狩PAで車中泊を試みたが、本線を通る車の音がうるさく眠れそうにないので、勝沼インターで下り最終目的地まで行くことにした。旧三富村徳和の乾徳山登山口駐車場は、小さい夜間照明の中に数台の車が停まり、静まりかえっていた。途中の塩山で買った缶酎ハイを飲み、静かに眠れた。
乾徳山登山口(徳和)

翌朝4時に起床し、車内で朝食の弁当を食べた。明るくなり、辺りはまだ人気も少ないが、4時50分過ぎ、乾徳山に向け川沿いの車道を歩き出す。徳和の集落を抜け、乾徳神社の上にも登山者が使えそうな駐車場があり、テントも張られていた。
乾徳山登山道入口
【乾徳山への登山道】
乾徳山登山道入口の大きな標識があり、車道と別れ登山道が始まる。熊出没注意の標識も。道はやや急だが幅もあり明瞭だ。地図ではオソバ沢を渡り右岸沿いに登ることになっているが、水の流れは全くない。新緑の中を登り、林道を横切り、銀晶水の水場を過ぎる。何度か林道を横切り、開けた場所に着くと、錦晶水の水場だ。
錦晶水

ちょうどこの時、健脚の女性が追い付いてきた。乾徳神社の上の駐車場から歩き出したとのことで、追い抜いていった。ここから登りが緩やかになり、樹林が切れて乾徳山の山頂が望めた。国師ヶ原だ。
国師ヶ原から乾徳山展望

道満尾根からの道を合わせる十字路になる。左手奥に高原ヒュッテという避難小屋があるらしく、ちょうど男性が歩いてきて、先ほどの水場まで水をくみに行くようだ。十字路の先は石をガラガラ敷き詰めた歩きにくい道になり、カヤトの原を登り、再び道満尾根からの道と出合う丁字路になり、月見岩がある。扇平だ。
月見岩

ここで後ろを振り返ると大きな展望が広がる。あいにく雲海が広がり下界は見えないが、左手に雲の上に出ているのは大菩薩の山並みだろうか。そして正面にうっすらと富士山がそびえる。
月見岩からの展望(富士山方面)

ここから左に道を取り、カヤトの原を登ると、再び樹林になり、岩場もある。
扇平から石ころの道

髭剃(ひげそり)岩からは岩が連続し、梯子や鎖がある。
髭剃岩

左側の岩の崖と右側の木立が併走する区間を過ぎ、最後に岩の平面を1本の鎖で登り、乾徳山山頂に着いた。
乾徳山山頂を望む

乾徳山山頂手前の鎖場

【乾徳山山頂】
山頂は狭く、平らな場所もなく岩でゴツゴツしているが、360度の大展望だ。先ほどの女性が先着しており、しばらく話をする。年間200日位山に登っている方で、昨日は毛無山から富士山と南アルプスを展望したとか。今日は雲海が広がり、真南にうっすら見える富士山に対面すると、斜め右に南アルプス、右後ろに八ヶ岳が雲から頭を出している。近場では、右手に広い山肌が広がる。左手すぐ下には、山の尾根上の駐車場に車が1台停まっているのが見える。北側に振り返り、黒金山などこの後の行く手を確認する。その背後には左に国師ヶ岳、右に甲武信ヶ岳などが控えている。
乾徳山山頂から黒金山方面を望む

そうこうするうち登山者が数組登ってきて、山頂は賑やかになる。外国人と女性ガイドの若い4人組もいる。健脚女性は徳和へ下山した。
乾徳山山頂
私は先が長いので急ぎ弁当を食べ、黒金山への道へ歩き出す。

【黒金山へ】
急な下りを経て、徳和への下山路を見送り直進すると、道が細く踏み跡も薄くなり、ピンクのテープが頼りだ。「Y.S.K.」と記された赤いプラスチック板の標識も登山道を示しているようだ。シャクナゲの群落が現れるが、まだ蕾で花が咲いていない。この頃雨が降り出し、雨具を着る。急な登りで笠盛山に着く。樹林の中にぽっかり開けた場所で、5人も立つと満杯だ。ここで同じ方向に前後して歩く2~3組の人と出会った。雨は止んだり降ったりし、雨具を脱いだり着たりしながら歩く。樹林帯から頭を出すピークが何度かあり、笠盛山と乾徳山を振り返る。
乾徳山を望む

黒金山の手前で、大ダオ・国師ヶ岳方面への分岐があり、この付近にはまだ雪が残っている。登り切って黒金山山頂に着く。
黒金山山頂

山頂の北西側が開けており、雲が切れると正面に谷を一つ隔てて国師ヶ岳・北奧千丈岳が大きく根張りしている。左の稜線奥にわずかに金峰山がのぞいている。右手には甲武信ヶ岳がそびえる。
黒金山山頂から国師ヶ岳・北奧千丈岳を望む

【西沢渓谷へ】
再び針葉樹やシャクナゲの登山道を下り、牛首のタルは開けた原っぱで、天科への道が下っている。針葉樹の倒木は鹿に表皮を食われたのか、つるつるの白い木肌を出している。やがてシャクナゲの花が咲いている区間になり、しばらく赤やピンクの鮮やかな花を楽しむ。
シャクナゲが咲く

この途中で外国人の4人組を追い越したが、西沢渓谷からのバス時刻を教えてあげた。紅葉台を過ぎるととても急な下りが延々と続く。
ついに下りきり、黒金山登山道入口の大きな標識のある場所に飛び出した。
黒金山登山道入口

あとは、十分長いコースを歩き通した余韻に浸りながら、西沢渓谷を散策するく多くの人々の中に混じり込む。左に渓谷を見ながら廃止された軌道跡の道を歩く。
西沢渓谷・五つ淵を見下ろす

ネトリ(子酉)橋を渡ると、あとは、4年前に甲武信ヶ岳に登ったときに見覚えのある場所だ。西沢渓谷入口のバス停に着くと、バスは15時40分の塩山駅行きが行った後だったが、最終16時25分の山梨市駅行きに間に合った。外国人の4人組も着いた。それにしても、この2つのバス路線は、それぞれ甲州市と山梨市が運営するもので、それぞれの駅までの運賃は1000円と900円とほぼ同じだが、途中の乾徳山登山口までの運賃は680円と300円で、ばらつきがある。乾徳山登山口駐車場で下りたのは私1人で、家族連れなど多くの登山者を乗せて満員になって発車した。駐車場は車もまばらになっており、半日ぶりに車に戻り、帰路に就いた。