川苔山・蕎麦粒山・棒ノ折山 Kawanoriyama, Sobatsubuyama, Bounooreyama2013/02/01

[奥多摩] 川苔山(1363m)・蕎麦粒山(1472m)・棒ノ折山(969m)      →休日の山歩き top
2013年1月13日(日)

棒ノ折山に初めて登ったのは約30年も前のことだが、その時は小沢峠から棒ノ折山までの東京・埼玉都県境の尾根を歩いた。そして今、雲取山から長沢背稜を経て棒ノ折山までの長い都県境の稜線を歩き通したいと思っている。一杯水から蕎麦粒山までは4年前に歩いたから、引き続き棒ノ折山までを歩こうと計画した。蕎麦粒山に行くのは3回目になるが、今回は、10年以上行ってない川苔山と組み合わせることにした。鳩ノ巣駅から登り始め、川苔山に立ち寄り、日向沢ノ峰(ヒナタサワノウラ)に至り、蕎麦粒山を往復した後、棒ノ折山まで縦走する。このコースのうち、日向沢ノ峰と棒ノ折山の間の都県境の道は、以前の登山地図ではヤブがうるさいとして破線ルートになったりしていたが、現在はそんなこともなさそうだ。いずれにしてもコースタイムで10時間近くの長丁場になるので、朝早立ちして、蕎麦粒山を遅くても午後1時頃には発つ必要があると思った。
地図

【行程】
西武線⇒青梅線拝島5:40発⇒鳩ノ巣6:46着

6:50鳩ノ巣駅→7:36大根ノ山ノ神→8:31大ダワ→9:23舟井戸→9:46川苔山山頂10:16→10:24曲ヶ谷北峰→11:19日向沢ノ峰→12:02蕎麦粒山山頂12:42→13:14棒ノ折山分岐→14:39長尾丸山→15:10槙ノ尾山15:20→15:37棒ノ折山山頂15:50→16:38大丹波林道→16:45清東橋バス停

バス清東橋16:50⇒川井駅17:05=川井発17:28青梅線⇒拝島18:13着⇒西武線

【歩行時間】 [ ]内はコースタイム
鳩ノ巣駅→川苔山  [3:05] 2:56 +休憩0:30
川苔山→蕎麦粒山  [2:10] 1:46 +休憩0:40
蕎麦粒山→棒ノ折山 [3:15] 2:55 +休憩0:13
棒ノ折山→上日向  [1:20] 0:55 (清東橋まで)
計            [9:50] 9:55

【高低差】
鳩ノ巣駅310m→蕎麦粒山1472m→清東橋380m=+1162m-1092m

【鳩ノ巣駅から稜線を目指す】
日曜日の朝、5時前に家を出て、拝島で乗り換え、奥多摩駅に6時51分に着く電車に乗った。前回と同じ電車で、乗客はまばらだが前回よりは多い。6時46分に鳩ノ巣駅で下車。踏切を渡り(写真)、家並みを抜けて川苔山・本仁田山への登山道に入り、まずはコースタイム約3時間の川苔山を目指す。杉が植林された尾根の左斜面を登る(写真)。
鳩ノ巣駅の踏切を渡る

尾根の左斜面を登る

この尾根の稜線に乗った所が大根ノ山ノ神で、祠がある。また鳩ノ巣駅からここまで林道も上がってきている。川苔山へは、尾根の右斜面に移って一旦下る道もあるが、尾根筋を直登する道を選ぶ。
(写真)大根ノ山ノ神。林道を渡り尾根筋に上がり、見下ろした所。祠は杉の木の下にある。
大根ノ山ノ神

程なく次の分岐があり、そのまま尾根筋を行くと本仁田山で、川苔山へは右斜面の道に移る。植林帯の斜面や、広く開けた落葉樹林を通って登る。林の切れ目から右上方に、コブのある稜線が見えたが、これがこの後歩くノコギリ尾根だ。
(写真2枚)尾根の右斜面を登る。広く開けた落葉樹林もある。
(写真)右上方に見えた稜線。左の鞍部が大ダワで、その右に続く鋸尾根。
尾根の右斜面を登る

開けた落葉樹林

前方に鋸尾根が見える

その先で男性が下りてくるのと出会い、大ダワの先の巻き道で桟橋が落ちて通行禁止になっているのを見て戻ってきた、尾根筋の道は急坂だから行かない、とのこと。やがて、左上の尾根が近づいてきて、稜線に乗った所が大ダワだ。ここは川苔山と本仁田山を結ぶ稜線の鞍部で、ここにも祠がある。(写真)
大ダワ

大ダワから先の道は、左のウスバ乗越・足毛岩方面への波線ルートは「崩落のため通行禁止」(2012.5.28)になっている。一方、稜線続きの舟井戸までの区間は、右を巻く道がコースタイムでは少し早いが、さっきの人が言ったとおり、「桟橋崩落のため通行禁止」(2011.9.12)になっている。

【稜線を歩き川苔山を目指す】

そこで、「悪路・急坂のため通行注意」になっている尾根筋の道を行くと、直ちに、よじ登るような急坂が始まった。この区間は10年余り前に川苔山に登った時に逆向きの下りで歩いたことがあるが、こんなに急だという記憶はなかった。ただ、防火帯とするためか、やや広めに切り開いてあり、悪路と言われる割には歩き易いと思う。地図では舟井戸までの間にコブが5つあるように読めるが、実際に歩いてそう数えられた。現地の表示で「鋸尾根」となっているが、コブの連続を指してのものだろう。最後のコブから下りた舟井戸は、開けた平坦地で、ベンチもある。大根ノ山ノ神で分かれた道が右手から上がってきている。
(写真)大ダワ・舟井戸間の「鋸尾根」とされる道、急坂が一段落した所。
(写真)舟井戸を見下ろす。右は大根ノ山ノ神からの道。
「鋸尾根」 急坂が一段落した所

舟井戸

川苔山へは尾根筋から左に外れ、葉が落ちた明るい林を抜け、前方の尾根に上がると、反対側に川乗橋からの道も上がってきて十字路になっており、左折して防火帯の広い道を一登りで川苔山山頂に出た。
(写真)川苔山への防火帯の最後の登り
川苔山への最後の登り

明るく広い山頂からは雲取山方面の山並みや、多摩川を挟んだ対岸の御前山や、その右の富士山の展望が開ける。
(写真)川苔山山頂。正面に雲取山を望む。
(写真)川苔山山頂の標識。「川乗山」「川苔山頂」の両方ある。
(組み合わせ写真)川苔山山頂からの展望
(写真)川苔山からの富士山。手前は三頭山。
川苔山山頂 正面に雲取山を望む

川苔山山頂の標識

川苔山山頂からの展望

川苔山からの富士山 手前は三頭山

鳩ノ巣駅からここまで約3時間経っており、山頂には数組の登山者がいるが、川乗橋バス停から多くの登山者が着くにはまだ少し早いようだ。男性2人組は、有馬山の林道の駐車場から登ってきたとのことで、名栗湖に沿った車道を通り、林道のゲートを通って有馬山まで車で入れるのだそうだ。軽く腹ごしらえして、10時過ぎに次の目的地、蕎麦粒山まで約2時間の途に着く。

【蕎麦粒山への縦走】
先ほどの道を戻り、十字路をそのまま進み、次の曲ヶ谷北峰の分岐で赤杭尾根に直進せず左に折れる。
(写真2枚)曲ヶ谷北峰から 川苔山と蕎麦粒山。
曲ヶ谷北峰から 川苔山

曲ヶ谷北峰から 蕎麦粒山

ここからは今回初めて歩く山域で、都県境の稜線上のピークである日向沢ノ峰に向かう道だ。尾根通しの道で、途中、多くの道が分岐し、また登り下りが多いが、尾根の左側が大体広く切り開かれ、明るく見通しが良い。踊平(オドリダイラ)でははるか下方に林道が入ってきている。
(写真)日向沢ノ峰に向かう稜線の道。正面に蕎麦粒山。
日向沢ノ峰に向かう稜線の道

岩のある開けた急坂を登り、日向沢ノ峰(1356m)に着いた。ここも富士山や雲取山の展望が良い。日向沢ノ峰を下ると棒ノ折山への分岐が現れた。
(写真)日向沢ノ峰への登り
(写真)日向沢ノ峰の山頂
(写真)日向沢ノ峰の下、棒ノ折山への分岐。
日向沢ノ峰への登り

日向沢ノ峰の山頂

日向沢ノ峰の下、棒ノ折山への分岐

まずはここから蕎麦粒山への往復だ。有馬山への分岐を見て、引き続き刈り払われた防火帯の尾根を進む。落ち葉の積もる最後の急坂を登り、岩のある蕎麦粒山山頂に着いた(写真2枚)。
蕎麦粒山山頂

蕎麦粒山山頂

ちょうど誰もいなかったが、その後数組が到着し、一時賑やかになった。前回夏に蕎麦粒山に来たという男性は、木で展望もなく虫が多くて大変だったと。そう言えば私も、夏の雲取山では虫に悩まされたが、2年ぶり3回目となるこの蕎麦粒山へは、冬のこの時期にばかり来ている。川苔山でも一緒だった単独男性は、朝は赤杭尾根から来ており、この後仙元尾根から浦山口に下ると。鳥屋戸尾根から来た人もおり、前回私は道を間違えたが、この人は間違わずに来たそうだ。
昼食に湯を沸かしてカップラーメンを食べる間に、多くの人は西側に山を下りたが、その後で単独女性が棒杭尾根から登ってきた。本仁田山の花折戸尾根とか波線ルートや黒波線ルートも好んで歩いている人らしい。

さて、蕎麦粒山に着いたのが12時で、計画どおり十分早い時間であり、予定どおり最後の目的地、棒ノ折山までの3時間余の途に着くことにし、12時40分に発った。途中、カメラのメモリが一杯になってしまい古い写真を消したりしていると先ほどの女性が追い付いてきて、付かず離れずで歩き、日向沢ノ峰の分岐で、赤杭尾根に向かうこの人と別れ、いよいよ棒ノ折山への道に入る。
(写真)蕎麦粒山山頂から戻る。前方に川苔山。
(写真)日向沢ノ峰の下、棒ノ折山への分岐。
蕎麦粒山山頂から戻る

日向沢ノ峰の下、棒ノ折山への分岐

【棒ノ折山】
道はこれまでより細くなるが、尾根筋に沿ってしっかり付いており、間違いそうな所はない。大きな送電鉄塔が尾根上に立ち(写真)、送電線が空中を渡っている。急な下りや多少の登り返しを繰り返し、900m前後まで高度を下げていく。
クロモ山(現地の表示のみ)、長尾ノ丸(現地の表示は長尾丸山)、槙ノ尾山といったピークを経て、3時40分、棒ノ折山に到着。約30年ぶりの再来になったその山頂は、広く平坦で北側が開け、実に気持ちがよい。他に誰もいないその場をしばし独占した。(写真2枚)
送電鉄塔

棒ノ折山山頂

棒ノ折山山頂

さて、山頂からの下山は、大丹波林道の百軒茶屋に下りバスで青梅線川井駅に向かうことにする。このルートなら山頂から50分で林道に出るから、夕方暗くなりそうなとき心強い。
埼玉側のいくつかある下山ルートのうちでも、名栗川橋バス停に向かう道は、同じく50分程度で車道に出ると思われ、かつ埼玉側がの方が飯能駅までのバス便が多い。前回棒ノ折山に登ったときは名栗村からの往復だったので、今回は奥多摩側の川井駅に下りることにした。

【川井駅に下山】
見事な杉の植林の尾根を急降下する道(写真)は、関東ふれあいの道になっており、効率よく高度を下げる。やがて沢筋の道に出て、ワサビ田がずうっと続く横を通り(写真)、最後に大丹波川を渡って林道に出た。茶屋が立ち並ぶ道を下る(写真)。
植林の尾根を急降下する道

ワサビ田が続く横を通る

茶屋が立ち並ぶ道

運良く清東橋バス停からのバスにちょうど間に合い、上日向バス停までの20分の歩きを省略でき、また1時間早く帰ることができた。4時50分にバスが出た。川井駅まで約15分のバスは、途中上日向からも女性の登山者が1人乗り、乗客2人だけだった。
川井駅で電車を待つ間に夕闇が迫った。ホームの待合室で話をした男性は、赤杭尾根の曲ヶ谷南峰付近から大丹波林道に下りる曲ヶ谷沢を見つけて歩いてきたとのことだった。
奥多摩発の電車は結構混み合っており、あちこちで楽しい登山談義が交わされていた。

今回は、川苔山、蕎麦粒山、棒ノ折山を結ぶコースタイム10時間弱の区間を、休憩を入れて約10時間で計画どおり歩き、東京・埼玉都県境の稜線歩きも達成した。天気に恵まれ、山頂や稜線からの展望も良く、大満足の1日だった。

御殿山 Goten-yama2013/02/09

[房総] 御殿山(363m)、大日山(333m)  →休日の山歩き top
2013年1月20日(日)

南房総の山へ】
房総の低山歩きの時期になった。2年前に歩いた富山と伊予ヶ岳と隣接する御殿山に行くことにした。
日曜日朝7時過ぎに車で木更津を出発、館山道で南房総市の富山(トミヤマ)町まで南下する。富山(トミサン)と伊予ヶ岳の間を通る県道(富山鴨川線)をさらに東に鴨川の方向に走ると、道路の北側に高照寺の下の駐車場とトイレがあり、南側が御殿山登山口だ。駐車場には空のバスも入ってきた。

【御殿山】

8時半過ぎに駐車場を出発、道路と川を渡り、田んぼの間の道を山に向かって歩き出す。道が坂道になると、数日前の成人の日に降った雪が広く残っている所がある。集落の間を登り舗装道路が終わる所に「御殿山遊歩道」の看板と地図があり、良く整備された山道が始まる。(写真)
「御殿山遊歩道」の看板と登山道

雪が残る小高い所に大黒様が祀られており(写真)、登山口からわずか20分余りの所なのに、見晴らしが良い。先ほどの県道に連なる集落や、西に伊予ヶ岳と富山、さらにその間には東京湾を挟んで富士山も見える。県道と川を挟んだ対岸も山あいの地形になっており、山頂一帯はゴルフ場だ。(写真)
大黒様への登り

大黒様からの展望

展望を楽しんだ後、杉の尾根道に歩き出す。引き続き道は良く整備され、御殿山を指す道標も新しい。
御殿山手前の分岐

多少の昇降を経て、巻き道との分岐から直登すると(上の写真)、御殿山山頂に着いた。山頂は常緑広葉樹の大木が数本あってうっそうとしており(写真)、大小の祠と三角点がある。その南側の開けた所に東屋があり、展望が良い。伊予ヶ岳や富山、富士山が見え(写真)、富士山の右には、うっすらと丹沢の山並みが見え、雪で白くなっている。東には太平洋が光っている。南側は木立越しに尾根続きの鷹取山などだ。登山口の駐車場を私の後に発った男性が山頂に着き、成田方面から車で来たと話した。
御殿山山頂

御殿山山頂からの展望

【大日山】

展望を楽しみ小休止した後、南の尾根へ大日山を目指して歩き出す。広い尾根から急な下りの階段になり、椿のトンネルだ(写真)。鷹取山と思われるピークは木立の中だ。その先で山の右斜面が大きく崩壊しコンクリートで覆ってあり、金網越しに西側の展望が良く、伊予ヶ岳の右に鋸山も見える。
椿のトンネル

この辺りから整備された道標が無くなり、古くて文字が消えた道標に白いテープを巻き付けマジックで字が書かれたりしている。(写真)
道標

そのマジックの字を頼りに分岐を右折して巻いて登ると、宝篋印塔山で、木立の中にやや傾いた石の宝篋印塔(ホウキョウイントウ)と解説板がある。(写真)
宝篋印塔山

次に尾根続きで海軍機墜落慰霊碑があり、さらに尾根を南西に登ると大日山に着いた。石像や三角点、解説板、ベンチなどがあり、水仙も植えられているがまだ花が咲いていない。(写真)
大日山

ここも西側の展望が良く、富士山は富山の左側に移っている(写真)。御殿山方面から、先ほどの男性なども到着し、話しながら昼食を摂った。
大日山からの展望

この大日山へは、南側の旧三芳村の登山口から登るコースがあり、山頂へは北西の開けた尾根から登り着くようになっている。先ほど、大日山に来る途中で、10数人の団体とすれ違ったので、御殿山登山口の空のバスはこの団体を迎えるものだったかと思った。そして今また別の約10人の団体が北西から登ってきて、山頂は賑やかになったので、早々に退散することにし、北東の林の尾根に戻った。

【下山】

崩壊地付近から、御殿山山頂が大木のために乳首のようになっているのが見えた。その先に千葉県最高峰で自衛隊のレーダードームがある愛宕山(408m)が見えた。(組合せ写真の下左)
崩壊地付近から、伊予ヶ岳の左奥に鋸山が見えた。(同 下右)
御殿山山頂から南側の展望(同 上)
御殿山山頂/崩壊地付近からの展望

御殿山山頂でまた先ほどの男性に会い、この後高宕山に寄ってみたいとのこと。高宕山も山頂からの展望が良く、国道上の奥畑バス停の登山口からだとアプローチも良さそうだが、適当な駐車場所があるかどうか。この男性を見送り、山頂の展望をさらに楽しんだ後、下山する。
集落の中を抜ける途中で別の道を下ってしまい、県道へは西寄りの地点に出て、駐車場まで戻った。朝のバスも、先ほどの男性の車も、既になかった。改めて、南側の大黒様のある山並みを見上げた。
往復4時間、標高差300m以下の低山ながら、展望が良く、天気にも恵まれた余裕の1日だった。
地図
【行程】
登山口駐車場8:43→9:06大黒様→9:26御殿山9:40→9:57鷹取山→10:24宝篋印塔山→10:33大日山11:12→12:03御殿山12:21→12:37大黒様→12:56県道→13:04駐車場

歩行時間 4時間21分
標高差 登山口90m←→御殿山363m=±273m

三頭山から御前山へ奥多摩主脈を縦走2013/02/24

[奥多摩] 三頭山(1531m)・御前山(1405m)               →休日の山歩き top
2013年2月17日(日)


平地では金曜日に雨が降った後、週末は天気が良くなる予報だったので、奥多摩の山は新雪になっているだろうと期待された。先月、正月に御前山から大岳山に縦走した時は富士山が見えなかったので、今回はその再挑戦も含め、三頭山から御前山に縦走しようと計画した。三頭山へは南秋川の数馬バス停から檜原都民の森を経て登ることにし、御前山からは湯久保尾根を経て北秋川の宮ヶ谷戸バス停に下山し、武蔵五日市駅の Start & Finish とすることにした。コースタイム約8時間半の長丁場になる。
(結果は、御前山から奥多摩の境橋バス停に下山した。)
地図

【行程】

西武線⇒国分寺5:29発中央線⇒立川5:44発青梅線・五日市線⇒武蔵五日市6:14着=バス武蔵五日市駅6:22発⇒数馬7:18着

7:20数馬バス停→7:40歩道→8:06車道出合→8:09歩道→8:22東屋8:37→8:42三頭大滝→9:32ムシカリ峠→9:46三頭山西峰10:42→10:51東峰展望台11:00→11:41鞘口峠→里山の道→12:20都民の森分岐→12:38浅間尾根分岐→12:45風張峠→12:53山のふるさと村分岐→車道出合2回→13:21月夜見山→13:40月夜見第2駐車場→14:10小河内峠→15:11惣岳山→15:29御前山山頂15:39→15:44避難小屋→16:30林道・沢道分岐→17:03栃寄森の家→17:20沢道入口→17:35境橋バス停

バス境橋18:11発⇒18:20奥多摩駅着=奥多摩18:34発青梅線⇒拝島19:36着⇒西武線

コースタイム    計画      実行
数馬      7:20       7:20
 ↓ [2:30]
三頭山    9:40-10:30   9:46-11:00 (30分遅れ)
 ↓ [0:45]
鞘口峠    11:15      11:41
 ↓ [1:10]
月夜見P    12:25      13:40   (1時間遅れ)
 ↓ [0:50]
小河内峠   13:15      14:10
 ↓ [1:10]
御前山   14:25ー15:00 15:29ー15:39
 ↓ [2:00]      →[1:50]
宮ヶ谷戸   17:00  境橋 17:35
計 [8:25]+休憩1:25
       =9:50      10:15

高低差 数馬680m→三頭山1531m→御前山1405m→境橋380m=+851m-126m-1025m

【数馬から三頭大滝を経て三頭山へ】
日曜日朝、5時過ぎの始発電車に乗り、国分寺で中央線に乗り換え、立川で5時44分発の青梅線に乗り換える。前2回の御前山や川苔山に行ったときの青梅線より1本遅いが、終点の武蔵五日市に6時14分に着くと、6時22分発の数馬行き1番のバスに乗れる。バス車内はとても寒かった。南秋川沿いに、新聞配達もしながらバスは進み、1時間弱の終点数馬で降りたのは私1人だけだった。7時20分、朝の日差しの中、奥多摩周遊道路へと続く車道を歩き始める。
(写真)下右から時計回りに、数馬バス停、近道入口、旅館2軒
数馬

三頭山荘の前を通る近道をし、再びメインの車道に出合った所は、奥多摩周遊道路の旧料金所があった場所とのことで(写真)、少し戻ると都民の森・三頭山を指し示す歩道の入口だ。
奥多摩周遊道路

歩道は次第に雪道になり、沢を左右に渡り返し登ると、再び車道に出合い、右カーブの先で三頭大滝・三頭山を指し示す歩道の入口がある。
(写真)下左 歩道入口、下右と上左 歩道、上右 車道出合
数馬歩道

ここからは檜原都民の森の領域で、ケヤキの路を登る。やや雪も深くなり、汗も出る頃、東屋があるので、上着を1枚脱ぎ、スパッツを付ける。(写真)
ケヤキの路の東屋

ブナの路の平坦な部分を歩くと程なく三頭大滝があり、滝見橋に立ち寄ると(約14年ぶりの再訪だ)、滝の大部分は氷と雪に覆われ、一番下の部分に水の流れがある。
(写真)三頭大滝。上方にブナの路の柵が見える。
三頭大滝

次にブナの路は滝の上流部に沿って登りになる(写真)。落葉して見通しの良い沢沿いの道で、10センチほど積もった雪が日差しで光り、風もなく、気持ちの良い歩きで、汗も出る。
ブナの路

やがて稜線上のムシカリ峠に出て(写真)、山頂への最後の登りになる。左手には樹幹越しに富士山も見え始めた。
ムシカリ峠

【三頭山山頂】
最後の階段を登り、三頭山西峰(1524.5m)に到着(写真)。4年ぶりの再訪だ。
三頭山西峰

まずは、南の富士山と対面。背景が青空ではなく白っぽい空だが、富士の裾野や前衛の道志の山々が黒々としており、まずまずのコントラストだ。これだけでも、雪道を汗して登ってきた甲斐があったというものだ。(写真)
三頭山西峰から富士山

次に、北側に移ると、正面の鷹ノ巣山や左の雲取山など石尾根の稜線が延び、右寄りには蕎麦粒山なども認められる。木立越しのはるか下方に見える奥多摩湖の水面から、それらの山々がとてつもなく大きな固まりとなって立ち上がっており、なかなかの圧巻だ。
(写真)左に雲取山、中央右に鷹ノ巣山
三頭山西峰から石尾根

この山頂に着いたのは9時40分過ぎで、数馬からはコースタイムの2時間20分とほぼ同じ。今日は先が長いから素早い行動を心掛けようと、展望を楽しみながらも手早く食事に取りかかることにし、湯を沸かしてカップラーメンなどを食べる。この山頂は程良い雪に覆われて気持ちが良く、登山者が三々五々訪れている。そして多くの人が靴にアイゼンを付けている。私はここまでその必要は感じなかったが、念のためと、軽アイゼンを付けた。
(写真)三頭山西峰の標識。御前山まで9.5kmだ。
三頭山西峰

名残惜しい西峰を後にし、御堂峠に下る。4年前に登ってきたヌカザス尾根からの道は、今日は深い新雪に閉ざされ足跡もない。(写真)
御堂峠からヌカザス尾根への方向

登り返して三頭山の最高地点の中央峰(1531m)は木立で展望が無く、その先の東峰(1527.5m)には三角点がある。前回は御堂峠などに、西峰を中央峰とする古い道標が併存していたように思うが、今回はそれらが無くなり、西峰・中央峰・東峰とお揃いの新調の道標で統一されたようだ。
(写真)三頭山中央峰(左)と東峰(右)の標識。
三頭山中央峰と東峰

東峰の先に張り出している展望台からは、御前山や大岳山が望める。これから目指す御前山はまだかなり遠く、そこに至るまでの道筋を確かめようとするが、ちょっと木の枝が邪魔して良く見えない。(写真)
三頭山東峰から御前山と大岳山

またこの張り出した展望台のすぐ下に細尾根の登山道があり、人々の声も聞こえる。その声の主の若い男女数人が展望台に上がってきて賑やかになったので、いよいよ三頭山を出発し、4時間かけて御前山に縦走することにする。

【三頭山から鞘口峠へ】

三頭山東峰の展望台を出発したのは11時で、計画では三頭山では50分ほど休憩し10時半には出発することにしていたので、長居して30分の遅れだ。この尾根道は都民の森のブナの路になっており、結構急な下りだ。14年余り前の夏、息子が小学生だった頃家族で三頭山に来たが、その時、妻が鞘口峠からのこの急坂に音を上げて、それ以来一緒に山に行くと言わなくなった、いわく有りの急坂だ。そして、結構雪が深い。三頭大滝からの登りは沢筋だったこともあり雪が少なかった。多くの人がアイゼンを付けていたのも納得だ。そして下りでもあり、山頂からアイゼンを付けて正解だった。
(写真)三頭山から鞘口峠への尾根の下り道(ブナの路)。
鞘口峠に向かう尾根

(写真)三頭山から鞘口峠への道。「ブナの路」の北寄りに「登山道」が並行する区間が2回ある。
鞘口峠へ

いくつか都民の森の路との分岐を経て、鞘口峠に降り着く。十字路になっており、右手の森林館の方向から多くの人が登ってくる。御前山への縦走路は、そっち経由でも行けるが、下って登りになるので、直進して里山の路を登ることにする。
(写真)鞘口峠 左に森林館からの道が上がってくる。右が三頭山への尾根
鞘口峠

(写真)鞘口峠 月夜見山・御前山を指し示す方向は、里山の路
鞘口峠

【風張峠を経て月夜見山へ】
鞘口峠から里山の路に入った途端に、雪の上の踏み跡が少なくなり、動物の足跡も見られる。ただ、地形は今までよりも広々とした尾根になり、日差しもあり心地よい歩きだ。(写真)
里山の路

この里山の路には小さなピークが2つあり、その2つめのピーク付近では、左手の針葉樹林の間から、雲取山を中心とする山並みの展望が良い。
(写真)右が雲取山、左に飛竜山、その間に三ッ山のギザギザの稜線
里山の路から雲取山と飛竜山

このピークを下ると分岐があり、右が都民の森に戻る道、左が風張峠に向かう縦走路だ。そしてこれまであった足跡は都民の森から上がってきたもので、風張峠の方向は新雪の上にまだ歩いた跡がなく、いよいよ、初めての足跡を付けて歩き出す。より正確に言うと、深い雪に着いた足跡の上に新雪が被さっている状態で、古い足跡が分かるから、トレース有りと言って良く、ルートファインディングに苦労しない。(写真)
風張峠への尾根

とは言え、尾根筋を巻いて斜面に細く道が付いているだけの部分もあり、踏み外さないよう注意が必要だ。雪が深い所は20~30センチにもなろうか。
やがて、風張峠の手前で右手に浅間尾根が分岐する所に来ると、前方から対向して来る足跡が始まり、浅間尾根の方に歩き去っている。
(写真)左、結構深い雪に前方から対向して来る足跡。右、浅間尾根の方に歩き去る
風張峠の手前

対向する足跡をたどって進むと、風張峠では右手下方に周遊道路が通っている。(写真)
風張峠

その先は山のふるさと村・奥多摩湖への分岐で、対向する足跡が無くなった。この足跡の主は奥多摩湖から登ってきて風張峠を経て浅間尾根へと歩いたのだろうと思われる。
(写真)左、山のふるさと村・奥多摩湖への分岐。右、再び新雪になる。
風張峠の先

再び新雪の上に初めての足跡を付けつつ、月夜見山を目指すと、周遊道路に出合い、舗装道路の上を歩くが、アイゼンをはいているので歩きにくい。車の通行は多くなさそうだ。(写真)
奥多摩周遊道路

周遊道路から別れて平坦に歩き、再び周遊道路に出合った後、下って登り返し、金網越しに周遊道路を見下ろし、そして月夜見山(1147.0m)山頂に着く。山頂の広場は針葉樹や広葉樹に囲まれ展望がないが、ベンチもあり落ち着けそうな所だ。(写真)
月夜見山

ここから下ると三たび周遊道路に出合い、月夜見第2駐車場に着く。なお、地図では、月夜見山から尾根筋を下って、周遊道路の左カーブ(奥多摩湖に向かって)の地点に出る道が描かれているが、実際には、斜面を下って道路の右カーブの地点に出て、車道を数馬の方向に歩いて駐車場に達した。
(写真)周遊道路に出合う。右の数馬方向に歩く。
奥多摩周遊道路へ
(写真)月夜見第2駐車場
月夜見第2駐車場

【月夜見第2駐車場から小河内峠を経て御前山へ】
トラックなど数台が停まっているが人影のない駐車場から、小河内峠・御前山を目指す縦走路が始まる。ここからは多くの人が歩いたらしく明瞭なトレースになっている。(写真)
月夜見第2駐車場から小河内峠へ

もはや周遊道路に近づくこともなく、静かな尾根歩きだ。右手が檜原村で秋川流域、左手が奥多摩町で多摩川流域の、分水嶺の尾根で、結構両側が切れ落ちた細尾根だ。雪は10センチほどで、所によりすっかり消えて地肌が出ている。そしてたどり着いた小河内峠は、細尾根上の鞍部で、奥多摩湖と北秋川の両方に下山路が分岐し、奥多摩湖が見える。(写真)時は午後2時過ぎ、三頭山を出発して3時間経っており、当初の計画より1時間遅れにまでなったが、御前山まであと1時間余なので、そのまま前進することにする。
小河内峠

惣岳山に向かって緩やかに登り出すと、登山道の整備作業をしているらしい、古い木の杭やロープを背負った人が相次いで7人ほど下りてきた。その先で、奥多摩湖側が崩落し「よそ見やおしゃべりに注意」という箇所があった。
惣岳山に向けて登りが急になると、スタミナ切れで足が上がらなくなったので、三頭山で食事をしてから4時間も何も食べてないことでもあり、急遽、倒木に腰掛けてサンドイッチなどで栄養補給した。(歩きながら何か食べ続ける方が良いかもしれない。)元気回復して惣岳山に到着、正月以来の再訪だ。(前回なかった真新しいベンチが配置されている。)(写真)
惣岳山

そして御前山に向けて最後の登りにかかると、植生保護のための柵が新しいものに交換される作業の途中であり、さっきすれ違った人たちの仕事かと思われた。この辺りにカタクリの花が咲く頃は、新しい柵で多くの登山者を迎えるのだろう。(写真)
惣岳山から御前山へ

その先で富士山が見えた。霞んできているものの、午後のこの時間でまだ見えるとはありがたい。そして三頭山が富士山のすぐ右だ。良く歩いてきたものだ。(写真)
御前山手前から富士山と三頭山

午後3時半、三頭山の出発から4時間半かかって御前山山頂に到着し、山頂広場をしばし独占する。(写真)
御前山山頂

鞘口峠からここまで、整備作業の人たちのほか、登山者とは全く誰とも出会わなかったと思う。それなりに人気のあるコースと思われるのに、時期が閑散期で、時間も遅かったためか。ともかく、これで、大岳山・御前山・三頭山の奥多摩三山を結ぶ奥多摩主脈稜線を、2回に分けて歩き通した。

【御前山から栃寄を経て境橋に下山】

御前山からの下山は、予定を変えて、栃寄を経て境橋に下りることにした。遅い時間になったから、なるべく早く林道に出るためだ。
御前山避難小屋

御前山避難小屋(写真)の先で右手の木立が切れて大岳山が見える所があった。左右に長く稜線を伸ばし、その奥に町並みが望める。(写真)
御前山避難小屋先から大岳山

この先の道は、落葉樹の間の北斜面の下りで、見通しは良い方だが、雪は多い。(写真)
御前山から栃寄への下山路

そして奥多摩都民の森(体験の森)の広場や道の表示がやたらと多い。湧水の広場だったろうか、川苔山・蕎麦粒山の展望があった。(写真)
都県境稜線の山並み

やがて右手の沢沿いに広い歩道が始まったが、道標は左の山寄りの登山道を案内しているので、しばらく山寄りの道を併行する。そして2本の道が合流した所に東屋があり、林道(車道)が始まる。
(写真)左方登山道の終わりに東屋があり、右下方に林道が始まる。ここはトチノキ広場という。
トチノキ広場

時に4時半、ようやく、まだ明るいうちに安全圏まで下山できた。ここからは栃寄沢に下りる道も分岐するが、13年余り前の夏、まだ小学生だった息子と御前山に来て、下山でこの沢道に入ったがすぐに道が分からなくなり、息子が泣き出しそうになり、結局林道まで戻ったことがあった、これもいわく有りの沢道だ。なので今回も林道を下ることにする。林道とはいえ雪はしっかり残っており、しばらく歩くと雪が消えて乾いている箇所があったので、そこに座り込んでようやくアイゼンを外し、身軽になった足で引き続き雪道を下る。(写真)
林道

(写真)栃寄集落が見える。
栃寄集落

車止めを通過するとようやく車道の雪がなくなり、栃寄集落に入った。急坂を何度もカーブして下りるこの車道は人も車も通らず静かで、次に沢と平行した直線道路になる所で、沢沿いの登山道の出口があった。(写真)
沢沿いの登山道の出口

時に5時20分で、地図によれば沢沿いの下りはコースタイム40分、それを林道歩きで50分かかったことになる。さらに車道を歩き、境橋のバス停に5時半過ぎに着いた。(写真)
境橋バス停

朝の数馬バス停から10時間余りの山歩きになった。バスを待つ間に暗くなり、空に月や星が輝きだした。体も冷えてきたが、待つこと30分余り、乗り込んだ奥多摩駅行きのバスの中は、とても暖かかった。
奥多摩駅は既に夕闇の中だったが、電車を待つ登山者は結構多く、温泉に入ってきた人もいたか。青梅線の車内は登山の余韻に加え途中駅からは青梅マラソンの余韻も乗せ、立川へと向かった。